Vol. 002
Shadow traveler』




影の旅人

忙しない日々が続くとき
しなければいけないことは大きく
したかったことは小さくなっていく

そのうち
私という輪郭がなんとなく曖昧に

なっていることに気付く

そんな自分を好きになれないと感じたとき
机上の一角に"聖域"と呼ぶ
小さな場所をつくることにする

私の愛するものたち
私の色や形を思い出させてくれるものたちを
その場所に集めて

夜になると1、2分だけ ...
と そこへ向かう

ライトの下で、何もせず静かに佇む

気付くと10分 20分と過ぎていく
何かを取り戻す時間

外の世界に
私の内なる世界が押しつぶされていく中

暗い夜の星のように
聖域は私の内なる世界を示すようにそこにある

そんな

内なる世界を歩く影の旅人


心が光でみたされているときは

影を忘れずに知らせてくれる存在として


心に影があるときは

寄り添ってくれる存在として



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